2013/03/20

不協和音の美しさ

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1181144286

不協和音程を含む和音を、不協和音といいます。

つまり、根音に対して、長短3度、完全4/5度、長短6度の音程以外の
音程を含んでいれば、それを不協和音といいます。


一番身近な不協和音は、セブンスコード(属七の和音)です。
これは、根音、長3度、完全5度、短7度という構成になっています。
短7度は不協和音程ですので、これは不協和音といいます。
また、第3音と第7音が減5度となっており、これも不協和音程です。
とてもエネルギーのある、堂々とした響きを持ちます。
音楽を支える重要な屋台骨として常に働きます。
この和音がないことには、音楽はまともに終われません。


一番意外な不協和音は、add9(アドナインス)コードです。
これは根音、長3度、完全5度、長9度という構成になっています。
長9度は複音程ですので、その音程の数字から7を引くことになります。
9-7=2ということです。
長2度は不協和音程ですので、これは不協和音といいます。
また、第3音と第9音が短7度になります。これも不協和音程です。
でも、とっても爽やかに響きます。
ヒット曲を作るときには欠かせません。


不協和音=美しくない和音というのは誤解です。
不協和音はたいていの場合美しく響きます。

構成だけを見るとものすごく不協和なものであっても、
適切に使うと非常に美しい流れを演出することができます。
その典型例が、マイナー・メジャーセブンスと呼ばれるコードです。

根音、短三度、完全五度、長7度という構成で、
単独で鳴らすと悲惨なくらい不自然で気持ち悪い音が出ます。
しかし、Am→AmM7→Am7→Am6 といった流れを作ってみると
この2番目に存在するマイナー・メジャーセブンスコード
「AmM7」がとても美しく、自然な響きを生み出します。
使い方によっては都会的で洗練された雰囲気にもなります。

もう一つの不協和音の例ですが、セブンス・フラットナインスコードです。
音楽の「決め事」では、短9度の音程は何としても回避せよ、
というくらい不協和な音程です。
単独で短9度を鳴らすとそれがよく分かります。
短9度は複音程なので7を引くことになります。
そうすると短2度となり、誰が聴いても不協和だと感じます。

しかし、セブンス・フラットナインスコード
(根音、長3度、完全5度、短7度、短9度)は
何とも甘~~い雰囲気が出て、ジャズやボサノバなどでは
引っ張りだこの人気を集めるコードとして振る舞います。

この和音は普通、濁りを感じさせます。
しかし巨匠の手にかかると驚くべき効果が出ます。
ベートーベンの「第九」の第4楽章(いわゆる歓喜の歌)のフーガに入る
直前には、コードネームで書くとA7(♭9)という和音が数小節にわたって現れます。

不協和音の濁りを感じさせるどころか、どんどん透明になっていき
精神が肉体の束縛から離れて浄化されていく・・・といった感覚をもたらします。
そして身も心も透明になりきった瞬間に、華やかなフーガが世界を包むという
感動的なストーリーを作り上げているのです。

逆に同曲においては、協和音を使って冷徹な問いかけを行うといった離れ業が
行われています。コードとしては「C」なのですが、
鋭く、不安定な音がまるで矢のように放たれるのです。


こういう事例から考えると、
協和音は美しいハーモニー
不協和音は美しくない音の集まり
という考えが完全に無意味だ、ということになります。