【ボカンと売れる】 『フットワークのいい会社』の大誤算とは? より
2010年11月29日7:07
例えばですけど、
「母の日のイベントに、母娘の親子のお客さんをたくさん集めたい」という販促企画を考えた、フラワー関連の会社があったとします。
この企画を成功させるためには、
まず、企画の概要、アイデアを詰めていく作業が必要です。
いろいろ情報をインターネットで集めたり、
同業者やコンサルタントの意見なども聞かなくてはいけないので、
だいたい、考えた販促企画が具体的にまとまるのには
半月ぐらいの日数はかかると思います。
本日が11月29日ということを考えると、この『母の日企画』がまとまるのは、
だいたい『12月中旬』頃と考えたほうがいいでしょう。
で、ようやくまとまった考えを、今度は会議に提出して、
スタッフや経営者の意見を聞かなくてはいけません。
そこで「この母の日企画はいいねぇ」という話になれば、
すぐに作業に取りかかることができますが、
ほとんどの場合は、会議の出席者のいろいろな意見を考慮して、
「もう少し、考えを練ったほうがいいでしょう」と言われることになり、
また、販促企画を作りなおす期間が必要になります。
で、だいたい企画を練り直したり、修正したりするので、またこれで半月。
そしてようやく、『12月下旬』に、会社側から企画のGoサインが出ます。
そうなると翌年の1月からこの企画を成功させるための、
本格的な活動を開始していきます。
会場の手配、予算の見積り、イベントのスタッフの手配、機材資材の手配・・・。
そのようなことを考えていくうちに、おそらく、また半月ぐらいかかって、
『1月中旬』頃に、母の日企画の「スタンバイ」が完全にOKとなります。
企画の内容が具体的に決まれば、次は販促方法の「戦略作り」です。
何の媒体を使って、どのような広告を利用して、どのくらいの人数を集めるのか、
ここがしっかり固まらないと、予算と広告媒体を作るための素材が決まりません。
これを調査したり、過去の広告のデータを収集したりするのに、これでまた半月。
そして、『1月下旬』頃には、およその広告宣伝戦略が確定します。
さらに2月上旬からは、販促ツールの制作に入ります。
いわゆるお客さんを集めるための、ホームページや販促DMに使う、
キャッチコピーや写真の素材を作ったり集めたりする仕事ですよね。
母の日イベントですから、
お母さんと娘さんの写真を撮影しなくてはいけませんし、
まずはモデルさん(もしくは知人)の手配から行わなくてはいけません。
で、イベントを行っているような風景を会場にセッティングして、
そこで、手配した母娘の楽しそうな写真を撮影して、
他にもイベントを連想させるような細かいイメージ写真も撮影して、
ホームページやチラシの制作で充分使える写真素材を手配します。
加えて、広告戦略に合わせたキャッチコピーや本文も考えて、
レイアウトも確定させるところまで考えれば、
やはりここで半月ぐらいの日数はつぶれることになるでしょう。
結果、広告宣伝用の素材が集まるのが、『2月中旬』。
そこからデザイナーやホームページを制作する会社に仕事を依頼して、
即効で作ってもらっても、販促媒体が完成するのは『2月下旬』頃。
そして、ホームページは完成して、ネット上にアップできる状態になったものの、
販促チラシに関しては、完成したデザインを、
今度は印刷所に持ち込まなくてはいけません。
枚数をある程度刷るのであれば、
やはりここでも半月ぐらいは見ておいたほうがいいでしょう。
そうなると、印刷がすべて終わって、手元に販促チラシが届くのが『3月中旬』。
そこから今度は、販促チラシをダイレクトメールの封筒に詰め込んで、
常連のお客様に送る準備をしなくてはいけません。
常連客のデータを抽出して、ラベルを用意して、
さらに封筒を準備して、そしてチラシ折って挿入して、切手を貼って・・・
なんて地味な作業は、人数が少ないと半月ぐらいかかりますから、
ようやくダイレクトメールのスタンバイができるのが『3月下旬』。
これで配送の準備が完了して、お客さんの手元に届き、
封筒を開けるところまで考えると、だいたい『4月上旬』から中旬頃には、
「母の日企画」のダイレクトメールの情報が
ようやくお客さんの手元に届くことになります。
ふ~。
「母の日」は5月の第二週の日曜日。
ダイレクトメールが届いたのが4月上旬~中旬。
「間に合った~!」
って思うでしょ?
実は、ぜんぜん間に合っていないんですね!
だってご存知ですか?
今年の「母の日」の5月8日は、
ゴールデンウィークの「最終日」になっちゃっているってことを!
今年の5月の第二週は、5月の第一週が日曜日のために、
ゴールデンウィークに「母の日」が珍しくあるんです!
つまり、アクティブな母と娘は、
ゴールデンウィークの予定をあらかじめ組んでいる可能性も高く、
5月8日は、お出かけの予定を早めに入れていることが考えられるので、
母の日の「1ヶ月」を切った頃に情報が届いても、
予定が埋まっちゃっている可能性の方が高いんです!
だから、最低でも常連客に母の日のダイレクトメールを郵送で届けるのであれば、
3月中旬~下旬頃には届いていなくてはいけないし、
このことを考慮して、販促企画を考えるのであれば、
11月上旬~中旬にかけて、もうすでに来年の5月のイベントぐらいのことは、
動き始めていなければ、間に合わないんですね。
もちろん、これは「販促企画」についてのお話ですから、
これが新商品開発や新サービス、新規事業のアクションであれば、
もっともっと前から動かなくてはいけません!
大企業であれば、これらの活動はすべて分担制になっているので、
もう少しタイトな動きができるかもしれませんが、
中小企業で動ける人間が限られている会社であれば、
大企業の分担制に対して、時間軸で対抗していかなくてはいけませんから、
スケジュールを前倒しで動いていかないと、
どうしても、今の時代の「スピード」についていくことはできないのです。
いいですか?
よく、販促企画や戦略の話をすると、
「うちには人手がなくて」
「うちには予算がなくて」
「うちには時間がなくて」
と、言い訳をする人がいますが、
そういう人のほとんどは、
スケジュールの「先」の計画が立てられていない人です。
先に動くことが出来れば、
状況も冷静に考えられますし、仕事の分散させることができるので、
余裕を持った対応ができます。
また、突然の変更があったり、イレギュラーな対応を求められても、
スケジュールに余裕がありますから、即座に対応することも可能です。
でも、勘違いしている人は、この「先」の読む期間を、
1週間だったり、1ヶ月だったり、3ヶ月だったり、
「短期間」でしか捉えていないのに、今の行動に満足していたりしています。
でも、実際に競合と戦っていくのであれば、
最低でも「6ヶ月」先ぐらいの動きをしていないと、
今の販促のスピードには中小企業は絶対についていくことができません。