2009/07/24

「自分の答えのつくりかた」より その1

渡辺 健介さんが書いた本のあとがきより抜粋

私の「Mr. B」との出会い

この本はあくまですべてフィクションである。しかし、私の人生にも、ピンキーにとってのMr. Bのような存在がいた。
強い眼光で問いかけ、地平線を一気に広げてくれた人。
自分の知らない世界の存在を気づかせてくれた人。

"If more politicians knew poetry, and more poets knew politics, I am convinced the world would be a little better place in which to live."

これは、あとから知ったジョン・F・ケネディの言葉だが、私が「Mr. B」との出会いを通じて感じさせられたことは、この言葉に集約される。

陽のあたる美しい歴史だけではなく、醜い歴史、そして現実を歴史書だけでなく、映像、文学などを通じて喜怒哀楽を揺さぶられる形で突きつけられた。

絶対的な正解がない中、そして、多種多様な立場が存在し、多種多様な意見が飛び交う中での決断の難しさを思い知らされた上で、「でも、何らかの決断を下さないといけない。あなたならどうする」とまっすぐ目の奥を見つめられながら、問いかけられた。

当たり前すぎて、そして、ナイーブ過ぎて恥ずかしい限りだが、思春期の私は、その中で、理想を求める詩人の心、アイデア止まりの想像力、気合や精神力だけではどうにもならない世界があるということを、とことん思い知らされた。

詩は必要である。我々をやわらかくしてくれる、勇気付けてくれる、つなげてくれる。

そして人には多種多様な役割があって、それらが絡み合って初めて機能し、変化が起こる。

しかし、ほとんどの詩は蒸発して終わってしまうのも、これもまた事実だ。

詩を詠って、現状を憂うだけでは世の中はそう簡単に変わらない。

この世に足りないのは、「詩人」でも「政治家」でもない。厳しい現実の社会で生活していく中で、次第にみんながあきらめ、捨て去っていく詩人の心を可能な限りとどめながらも、圧倒的な想像力、考え抜く力、大局観、幅広い教養、自分なりの価値観・世界観、人徳、ある目的を達成するための政治力、そして覚悟と気概を持って、「詩」で描いた世界を「人々の行動が変わる域」までたたみ込むことができる人、社会の構造が変わるまで変えてしまえる人だと痛感した。

無用な戦争を阻止したあの人たち。

残虐な階級社会をつぶしたあの人たち。

バスの後ろにしか座れなかった人々が、ある日から当然のようにどこの席にも座れるようにしたあの人たちのように。

変えるスケールは、小さくても大きくてもよい。

Independent Mind を身につけても、何が正しくて、何が間違っているなどということは分からないことは多い。よいと信じて始めたことが、時に間違った方向に行ってしまうこともある。

しかし、Independent Mind を持ち、良いと信じた行動を貫き続けられれば、まるで重力に引っ張られるかのように、最終的には確実に「正しい方向」に向かっていく。


「自分を等身大に見つめ、自分ができることをやりなさい」

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