ジャック・マイヨール
「音楽は最も宇宙的な言葉です。イルカ達に音楽を聴かせたことがあるんですが、彼らはハーモニーに対して、特別鋭い感性を持っているような気がします。音楽の美しさは、単に聞こえている音の中にあるのではない。音と音のすきまにこそ、その美しさの本質がある。これは素潜りの素晴らしさとよく似ています。まず息を吸い、それを体の中にとどめ、そして吐き出すまでの、そのすきまにこそ素潜りの醍醐味があるんです。
深海に潜るとき、心の静寂が最も大切なのです。ちょっと心が乱れるだけで脈拍が高まり、限界が早く来る。呼吸していないことを忘れるほどの心の静寂が必要なのです。その点イルカは私達よりはるかに優れている。彼らは、完全に自然と調和している。私もそうなりたいと思う。
確かに人間は何万年に渡って変化を遂げてきました。しかし、決して変わっていないものがあります。水の記憶です。生命の源です。私たちの体や遺伝子の中には、母の子宮や海の中で生きていた時代の記憶がはっきりと残っているのです。
私は今「ホモ・ドルフィナス」と呼ぶ生き方を提唱しています。自然とのつきあい方をイルカから学ぶのです。自然を支配すると言う従来の考え方を変え、自然に寄り添って生きる生き方を探すのです。自然や宇宙には私たちの及びもつかない深い英知が秘められています。自然に寄り添い、自然と調和したとき、無限の可能性が生まれてくるのです。」
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